技術ポートフォリオ

技術例①軽トラ荷台フレーム「MultiYAGURA」開発実績

設計・解析・製造・保守の全工程を最適化する「実践的プロダクトエンジニアリング」。
笊畑機械設計の実力を最も象徴するプロジェクトの一つが、この「MultiYAGURA」です。

単に形を作るだけのデザインではなく、製造コストの抑制、構造の信頼性、そして現場での使い勝手までを、エンジニアリングの視点で徹底的に作り込みました。

MultiYAGURA

小ロット生産において最大の壁となる「部品単価の上昇」を、設計の工夫で突破しました。

  • 形状の共通化:1つの製品内で、パイプの曲げデザインを徹底的に共通化。
  • 量産効果の創出:ベンダー加工(曲げ)や溶接工程において治具を共通化し、作業の連続性を確保。

これにより、小ロット製品でありながら実質的な量産効果を生み出し、製造コストの最適化を実現しました。

2. CAE(構造解析)による、過酷な使用環境を想定した剛性確保

MultiYAGURAは、ウインチによる重量物の牽引など、極めて高い負荷がかかるシーンを想定しています。

  • 頑強な設計思想:構造解析(CAE)を繰り返し実施し、鋼材の応力分布を詳細に検証。工業研究所の引張試験機とCAEの相関検証も行い、降伏応力および破壊応力の見極めを行いました。
  • 信頼性の数値化:ウインチ取り付け部を含むフレーム全体の歪みを最小限に抑え、ハードな現場環境でも「壊れない、たわみにくい」根拠ある設計を施しています。

3. 製造品質と耐久性を担保する「プロセス管理」

「図面を描いて終わり」にせず、製品の寿命を左右する表面処理まで踏み込んだ品質管理を行っています。

  • 塗装膜厚の管理:屋外での過酷な使用を前提とし、防錆性能を決定づける塗装工程において、指定の膜厚が確実に確保されるよう設計・管理。
  • 長期使用への配慮:長期間の使用に耐えうる製品寿命(ライフサイクル)を担保しています。

4. プロの道具としての「サービス性・保守性」の追求

現場でのストレスをゼロにするため、細部まで配慮を行き届かせています。

  • ボルト選定と作業性:負荷に応じた適切な強度区分・径のボルト選定はもちろん、工具の入りやすさや着脱のしやすさを考慮したレイアウト設計。
  • 現場視点の設計:使う人が迷わず、安全に、短時間で点検・整備ができる「サービス性」を設計段階から組み込んでいます。

多部品で構成される製品において、各部品の公差が積み重なる累積公差の管理は、品質とコストを左右する生命線です。

① 「ワーストケース」から「統計的最適解」へ

すべての部品が公差の最大値または最小値で組み合わさる確率は、統計学的に極めて低くなります。

  • 過剰設計の回避:単純な積み上げ(ワーストケース法)による設計では、不必要に厳しい公差を指定せざるを得ず、加工コストが跳ね上がります。
  • RSS(Root Sum Square)の活用:各部品の公差の分散を考慮し、2乗和の平方根で累積公差を算出。製造現場の実態に即した「現実的な公差設定」を行います。

② 多部品構成製品への適用メリット

MultiYAGURAのような、鋼材パイプと締結部品が複雑に絡み合う構造体でこそ、この手法が真価を発揮します。

  • 不具合の未然防止:ベンダー加工や溶接による変動要素を統計的に処理し、最終的な製品のガタつきや干渉を予測。
  • 歩留まりの向上:理論上の最悪ケースに縛られすぎないことで、加工の許容範囲を最適化し、部品の不採用率を低減。プロジェクト全体のコストダウンに直結させます。

③ 「理論」を「現場の組みやすさ」に繋げる

計算上の数値だけでなく、実際の製造現場での「収まりの良さ」を最優先に考えています。

  • 組立性への反映:解析結果に基づき、重要な勘合部には適切なクリアランスを確保。
  • 手戻りの最小化:ボルト穴のピッチや長穴の設計において、統計的な根拠を持ってサイズを決定するため、現場での「組めない」「修正加工が必要」といった手戻りを最小化します。

MultiYAGURAの開発で実践したこれらのプロセスは、すべてお客様のプロジェクトに還元されます。

  • 「作れる設計」:加工方法を熟知しているからこそ、無駄な工程を省き、スムーズに製造へつなげます。
  • 「根拠ある設計」:感覚ではなく、解析と統計に基づいた設計により、試作の手戻りを防ぎます。
  • 「長く使える設計」:メンテナンス性や耐久性まで見据え、製品の市場価値を最大化します。

技術例②:構造解析及び実機評価を併用した高精度剛性設計【中小メーカー向け】

ミルシートを用いた最適な材料選定後にその材料のテクニカルデータシートから得られるヤング率、ポアソン比、降伏点(0.2%耐力)を基に解析を実施します。
解析結果から安全率を確認した後、引張試験機等で圧縮または引張試験を行い、S-S線図を求めて解析との整合性を検証します。

製品が繰り返し荷重を受けても安全に機能するための設計基準において、S-N線図で材料破壊をするまでの応力振幅と繰返し数の関係による繰返し負荷判断を評価します。
また、変動する応力に加えて、異なる平均応力(ワークに対してかかる一定の応力)下での疲労限度を評価する際には修正グッドマン線図を用い、変動する応力下での疲労寿命を予測するための経験則として累積疲労損傷則(マイナー則)等を用いて検証をします。

技術例③:DRBFMによる未然防止手法【中小メーカー向け】

DRBFMは、トヨタグループが導入している、製品の設計段階で起こりうる問題を未然に防ぐための手法です。
従来品との比較を行い、設計変更点や新たな要素に潜むリスクを洗い出し、議論することで、問題の発生を防止します。

技術例④:FPAによる故障診断解析

FPA(Failure Phenomena Analysis)は、元トヨタ自動車や九州大学の教授を務めた品質管理の専門家、吉村達彦氏が考案した手法です。
何が起きているのかという事実の発見のために使われる手法で、目の前の事実(現象)の連鎖を深堀することで、問題の本質の事実を発見する手法です。

信頼性管理手法の一つである故障の木解析(FTA:Failure Mode and Effects Analysis、JIS C 5750-4-4)にも対応いたします。
FTAは、故障原因を木構造で表現し、その原因となる事象を特定することで、システムの信頼性を向上させる手法ですが詳細は割愛いたします。

設計ポリシー、設計思想

私たちの設計ポリシーは、お客様にとって『シンプルで、作りやすく、そしてコストパフォーマンスの高い』製品を設計することです。

なぜ、そう考えるのか?

それは、私たちが作る製品が、最終的にお客様の手によって使われることを常に意識しているからです。

シンプルであること

複雑な構造は故障のリスクを高め、お客様の負担を増やします。シンプルな設計は、製品の信頼性向上だけでなく、メンテナンスの容易さにもつながります。

作りやすいこと

製造現場の負担を減らし、製品の品質を安定させることができます。これは、納期を守り、お客様にご満足いただくための重要な要素です。

コストパフォーマンスの高さ

高品質な製品を、できるだけ低コストで提供することで、お客様の満足度を高め、競争力を強化することができます。

私たちが心がけているのは、お客様への感謝の気持ちです。

製品設計という仕事は、お客様と直接顔を合わせる機会が少ないため、ついつい自分の世界に閉じこもりがちです。
しかし、常に「この製品は誰かの役に立つのか?」という問いを胸に、お客様の視点に立って設計に取り組んでいます。

具体的な取り組みとして、GD3という設計思想を取り入れています。

GD3は、
「Good Design(良い設計)」
「Good Discussion(良い議論)」
「Good Design Review(良い設計レビュー)」

の頭文字を取ったもので、 設計段階から問題を未然に防ぎ、高品質な製品を安定的に供給するための手法です。
この考え方を参考に、お客様にとってより良い製品を生み出すべく、日々研鑽を積んでいます。

私たちが目指すのは、単なる製品の設計ではありません。
お客様の生活を豊かにし、社会に貢献できるような、素晴らしい製品を生み出すことが私たちの目標です。

そのために、私たちはこれからも、お客様の声に耳を傾け、技術革新を追求し続け続けていきます。

町工場の困りごと研究所ブログ@笊畑機械設計

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